経審の点数が悪いと入札に不利になるのですか?公共工事に影響する評価制度の仕組みと対策
公共工事に参加するためには、建設業者は「経営事項審査(経審)」を受ける必要があります。この審査では企業の経営状況や施工能力などが数値化され、最終的に「総合評定値(P点)」という点数として表されます。
このP点は、各自治体や発注機関が行う「入札参加資格」の判断材料となるため、多くの建設業者が「経審の点数が低いと入札で不利になるのでは?」という疑問を抱くのも当然です。本記事では、経審点数が入札にどう影響するのか、誤解されやすいポイントや対策方法も含めて詳しく解説します。
結論:経審の点数が悪いと入札で不利になる可能性が高い
経営事項審査の総合評定値(P点)は、自治体や国の発注機関が工事の入札参加者を選定する際の基準のひとつです。そのため、P点が低い場合は「入札できる案件のランクが制限される」「競争の中で不利になる」といった影響が出る可能性が高くなります。
特に、点数によっては「参加資格を満たさない」「技術点で競り負ける」といった事態になり、希望する工事に参入できないリスクもあります。
経審点数が重要視される理由とその根拠
経営事項審査では、以下の5つの指標が評価され、それらをもとに総合評定値(P点)が算出されます:
- 完成工事高(X1点)
- 自己資本額及び平均利益額(X2点)
- 経営状況分析(Y点)
- 技術力:技術職員数・資格など(Z点)
- 社会性等:労働保険、社会保険、退職金制度等(W点)
このP点をもとに、自治体や発注機関が「等級分け(ランク分け)」を行い、発注する工事の規模や金額に応じた業者を選定しています。
例えば、Aランクは大型工事、Cランクは小規模工事に対応する業者とされるため、P点が高いほど上位ランクに分類され、より多くの工事に参加しやすくなります。
よくある誤解:点数が低くても入札はできる?
確かに、点数が低い業者でも、ランクに応じた小規模案件には入札参加できる場合があります。しかし、それは「競争相手も同じランクに限られる場合」に限られ、入札が公開型であったり、同ランク内でも点数の高い業者が存在する場合には不利になることもあります。
また、「総合評価落札方式」が採用されている案件では、経審点数がそのまま評価点として加算されるため、点数の差が落札の成否に直結するケースも少なくありません。
実務での注意点:点数の維持・向上がカギ
点数を上げるためには、以下のような対策が有効です:
- 有資格の技術職員を確保し、Z点を向上させる
- 財務体質を改善してY点を上げる(債務超過の解消など)
- 過去の施工実績を確保し、X点を伸ばす
- 適切な社会保険加入、法令遵守でW点の加点を得る
経審の申請に不備があると、本来得られるはずの点数が反映されないケースもあるため、資料の整備や申請書類の正確性にも注意が必要です。
専門家によるサポート内容
行政書士や建設業に詳しいコンサルタントは、経審の申請代行や点数シミュレーション、財務改善のアドバイスなどを通じて、総合評定値の向上を支援します。
また、技術者の資格取得支援や社会保険適用への整備、入札制度の最新情報の提供など、入札参加に必要な幅広いサポートが可能です。
まとめ:経審点数は競争力のバロメーター、早めの対策が鍵
経審の点数は、単に「数字」ではなく、入札という競争の場での「評価」として直接影響します。点数が悪ければ入札への参加が制限されたり、競争で不利になったりすることは十分にあり得ます。
だからこそ、点数の意味を正しく理解し、改善できるポイントを見極めて対策を講じることが重要です。もし経審や入札について不安がある場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。